News
&
Column
本日は、当社がオープンソースのコア開発者の一員でもある、「三方良し」の日本発レイヤー1ブロックチェーンについて解説します。
三方良し
出自:コトバンク:https://kotobank.jp/word/%E4%B8%89%E6%96%B9%E8%89%AF%E3%81%97-514839
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。
売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ。
近江商人の心得をいったもの。
皆さんはSanpō-Blockchain のことをどの程度ご存じでしょうか。
長音記号を含むやや風変りな名称ですが、「サンポウブロックチェーン」と読むこのブロックチェーンは、2022年7月まではContent-Ethereumと呼ばれていました。
このブロックチェーンは、その旧名が表すように、もともとは世界で最も有名なブロックチェーンのひとつであるイーサリアムをハードフォークして誕生した、日本発のパブリック・ブロックチェーンネットワークです。
Sanpō-Blockchain はデジタルコンテンツの利用にフォーカスしたパブリックブロックチェーンで、2022年11月現在においては、7つの組織がそのノード運営に参加しています。当社もその運営者の1つです。
この組織はDAO型※で運営されており、全参加者が平等な立場でそれぞれ異なる目的をもってノード運営をしています。※DAOとは自律分散組織の略称。
ビットコインやイーサリアムなどの一般的なブロックチェーンのノード運営者は、ブロック生成報酬やトランザクション手数料と呼ばれる金銭的な報酬(=トークン)を得ることを主な目的として管理運用を行いますが、Sanpō-Blockchainのノード運営者はこれらの報酬をノード運営で得ることはできません。このブロックチェーンはユーザがトランザクションを実行する際に何らトークンを必要としない仕組みを採用しており、ノード運営の目的はそれぞれのデジタルコンテンツ関連の事業を行うことにあるようです。ある「ようです」と言ったのは、当社は事業運営目的でノードを管理運用していますが、前述の通りノード運営各社はそれぞれの目的をもっているので、一言で全体を表すことはできないためです。
繰り返しになりますが、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンの利用者がブロックチェーンにデータを書き込むためにはBTCやETHと呼ばれるトークンが必要で、一方のノード運営者はそれらのトークンを報酬として受け取ります。
しかし、Sanpō-Blockchainの利用者はブロックチェーンにデータを書き込むための手数料は必要とせず、ノード運営者はトークンを報酬として受け取ることができません。
Sanpō-Blockchainはなぜ、このような方法を採用しているのでしょうか。それは、このブロックチェーンがデジタルコンテンツのために特化しているからです。
分散型データベースという側面を持つブロックチェーンは、一般にデータの書き込み量が多くなるとネットワーク全体への負荷を高めることになるため、できる限りデータ量を増やさないことがネットワークの基本方針になっています。これは、ビットコインのような仮想通貨システムにとってみれば理にかなった方針ですが、デジタルコンテンツという契約内容やコンテンツ表現に重きを置くシステムにとっては好ましいと言える方針ではありません。
また、デジタルコンテンツの利用場面を具体的に想起すると、仮想通貨の送金サービスとは異なりデータ更新の度に課金されるという仕組みがサービスとして自然だとは言い切れない側面を持ちます。
このような理由から、デジタルコンテンツの利用にフォーカスしたブロックチェーンはネイティブトークン(=ブロックチェーンを動かす際に都度必要になる仮想通貨)が存在しない方が好ましいという結論に至り、現在の形としてのSanpō-Blockchainになりました。
Sanpō-Blockchainの特徴
Sanpō-Blockchainは、Ethereum VM完全互換のため、世界標準の技術をそのまま利用可能です。アプリケーションとしてSanpō-Blockchainを利用したいだけの場合は、上図のApplicantsと呼ばれるネットワークにブロックチェーンのノードを構築すると、ブロックチェーン内の全てのデータを閲覧することができるようになります。そして、Corridorsと呼ばれるノードにブロックチェーントランザクションを送信すると、Corridorsがブロックチェーンにデータを登録する(=ブロックを生成する)架け橋になります。
ブロックチェーンの運用に積極的に参加したい場合は、Authoritiesというネットワークにノードを構築することになります。この場合は、現存するノード運営者の過半数がその参加に賛成した場合にネットワークへの参加が許可されます。
ノード参加の申請は下記のフォームから誰でも申請することができます。その際には、ホームページや連絡先のメールアドレスなどの本人情報を連絡する必要があります。これは、ネットワーク参加希望者がどのような方なのかを各ノード運営者が判断できるようにするための措置です。
また、それぞれのノード運営者に対する要求事項が公開されています。Applicantはノードを自分で構築・稼働できれば良いだけですが、それ以外のノード運営には24時間監視や不具合発生時の調査などの役割が期待されています。
ブロックチェーンのブロック生成やトランザクション発行の状況については、Sanpō-Blockchain Explolerで確認することができます。
Sanpō-Blockchainはデジタルコンテンツの利用のフォーカスしたブロックチェーンですが、その一例としてNFTを取り扱うための専用ウォレットをオープンソースで公開されています。
下図のNFTユーザ向けのウォレットが無料で配布されています。
このウォレットで利用できるNFTは、コンテンツNFTと呼ばれるデジタルコンテンツ向けに契約情報などをブロックチェーンに直接書き込むことを可能にしたものです。こちらもオープンソースソフトウェアとしてリファレンス実装が公開されています。
さらに、Sanpō-Blockchainは、Japan Contents Blockchain Initiative(以降、JCBIと呼ぶ)の後援を受けて安心安全にデジタルコンテンツを流通させるための各種の仕組み作りを推進しています。下記の資料はJCBIが自民党のWEB3 PTに説明した取り組み概要です。ここでは、無許諾のIPがNFTとして違法販売されている問題に対するJCBIとしての提言・対応実績などがSanpō-Blockchainの活用と共に説明されています。
日本のコンテンツNFTの安心・安全なグルーバル流通拡大に向けた環境整備の取り組み
(2022年10月27日)
2023年以降のSanpō-Blockchainのオープンソース開発コミュニティは、下記のような技術サービスの開発を進めていく予定です。
<Sanpō-Blockchain>
https://sanpobc.io/
<Japan Contents Blockchain Initiative>
https://www.japan-contents-blockchain-initiative.org/
<Sanpō-Blockchain Meetup#2 に代表取締役の町 が登壇しました>
https://www.japan-contents-blockchain-initiative.org/