日本は遅れている?ブロックチェーンの実用化にあたって大事なこと

~システムモデラー社長の万事よろずの諸々~

先日読んだブログ記事で、「日本のブロックチェーンはなぜ世界に遅れを取っているのか」について論じられていたので、今日はブロックチェーンサービスの実用化について私が重視して取り組んでいることのひとつについて話します。

前述のブログ記事では、日本のブロックチェーン開発の現状について以下のポイントを指摘していました。

  • 米国ではブロックチェーンは完全に実用化のフェーズに入っている
  • パブリック型のブロックチェーンに関する議論では日本は遅れを取っていない
  • 日本のブロックチェーン産業がもう一歩先に進むにはコンソーシアム型のブロックチェーン活用をいかに進めていくかが鍵
  • プライベート型のブロックチェーンから始めても効力を十分に感じることができるのではないか

日本の現状に関する説明として全く同意。ただ、1点もしかしたらブログの著者と私では異なる認識があるかもしれない。それは、ブロックチェーンはプライベート型でも価値があるということです。

弊社は現在、Non-fungible Tokenモデルをベースに開発したNon-fungible Itemという概念の代替不可能性コンテンツを実稼働システムで定期的にリリースしています。このリリース作業を通して改ざんの出来ない「データが実際に存在する」という感覚を実際に感じるようになったのですが、この実感はプライベート型ブロックチェーンから生まれており、パブリック型どころかコンソーシアム型ですらありません。

弊社のブロックチェーンは現在4台のノードで稼働していますが、実際の運用上、このネットワーク上に生まれたコンテンツ(=データ)を存在しなかったことにすることは、ネットワーク運営者の我々自身であっても出来ません。

さらにブロックチェーン上の記録をユーザが閲覧できるように開放すれば、たとえそのブロックチェーンがプライベート型ネットワークであったとしても、従前のシステムと比べて圧倒的に信頼性の高いデータ管理システムになります。

しかし、ここで問題として頻繁に取り上げられてきたのが「誰がその圧倒的に信頼性の高いデータ管理システムを必要としているのか」ということです。これが前述のブログでも書かれていたブロックチェーン界隈では有名な「Why Blockchain:ブロックチェーンじゃなくても良いよね問題」。日本では過去にブロックチェーンを使う必要がないPoCが多々行われたのは事実だと思いますが、それは別のこととして、このWhyの禅問答からは脱却すべき理由があります。

ビットコインを送金したことがない人が、ビットコインの価値を本当の意味で分かることがないように、 代替不可能性コンテンツ を発行したことがない人が「データが実際に存在する」ことの意味を理解することは難しいです。少し大袈裟な例えになるかもしれないですが、人が未体験の5次元以上の世界の生活を想像できないのと同じように、何の準備もなしにデータが実際に存在している世界をイメージすることは難しいのです。

「誰がその信頼性の高いデータ管理システムを必要としているのか」の答えは未来にあって証明されるはずのことですが、もしあなたが今ブロックチェーンシステムの営業担当者で、顧客や知人に「改ざんできないデータベースがあるのですが、貴社の課題解決に役立ちませんか?」とヒアリングをしてもほとんど何も意味をなさないのです。

その意味で、私がブロックチェーンの実用化にあたって重視していることのひとつは、人々の生活の中で使われる「データ」を実際に存在させ、その存在を人々が感じられるようにすることです。一度実際に存在することを人々が感じたら、もはや存在を感じられないデータとの違いを技術者やビジネスパーソンが説明する必要はなくなります。多くの人が欲しいと思うものを代替不可能性ブロックチェーンコンテンツで作ることで、「信頼性の高いデータ管理システム 」の存在価値が急速に理解されていくのだと考えています。

かつてビットコインがスケーラビリティの課題を抱えながらも投機的な値上がりによって多くの一般の人の注目を集めるようになりました。それとはまた別の話ではあるものの、代替不可能性ブロックチェーンコンテンツは、多くの人が欲しいと思うものがその形で作られることによって、その存在価値が広く知られるようになる、少なくとも私はそうなるようにすべく取り組んでいます。